帰宅難民、帰宅困難者といった人達の報道が少なく、
実体験した人とそうでない人に、けっこう認識の差にあるように思ったので自分の体験@埼玉を書いておく。
■地震発生直後~宮原駅
自分は、11日の地震発生時高崎線に乗っており、緊急停車で地震を認識した。
宮原駅と大宮駅の間の、鉄道博物から程近い所で停車した。
車内放送にて、地震の影響でJR全線停車したこと、安全確認作業にかなり時間がかかりそうなこと、
電源確保のため(だったかな?)車内灯と暖房を切ること、などが順次告げられた。
約一時間位たって、運転再開の目処が立たないため、車外に誘導するとの放送があり、電車を降りた。
そこから宮原駅まで歩き、食料と携帯の予備電源を購入。
携帯は全くつながらなかったので、公衆電話から親に安否の確認の電話をした。
最初はしばらく待とうかとも思ったのだが、JR職員やTwitter等からの情報を鑑みて歩くことにした。
■経過(宮原~北鴻巣)
目的地は埼玉県のかなり北部。
宮原から中山道を道沿いに北上し、目的地までは歩きで辿りつけなくても、
途中で連絡がついたところで迎えに来てもらうつもりでとりあえず出発した。(18時半頃)
桶川あたりから、予想以上の停電状況で、なかなか公衆電話を発見できなかった。
※いくつかの公衆電話は発見したが、お金を入れても出てきてしまうのを故障だと思って、スルーしてた。
すべて停電しているので、寒かったけど屋内に避難できず、自販機も止まっているので温かい物が確保できず、
暖を取るには歩くしかないという状況の中、結局鴻巣駅まで歩いた。
鴻巣駅で、公衆電話が無料で使える状態であることを教えてもらい、緑の公衆電話から親と連絡を取り迎えに来てもらえることになった。
ただ何時間かかるか解らないということだったので、その間もう一駅歩くと言って、北鴻巣駅で待ち合わせることになった。(23時頃)
鴻巣駅から北鴻巣駅に出発したところで電気復旧していることに気づいた。
さっそく自販機のあったか~いを買ったがぬるかった。
この辺からは、自分の失敗もあるのだが。
北鴻巣駅入り口の案内が17号沿いになく(もしくは暗かったので見落として)、いつの間にか通り過ぎて吹上駅まで歩いてしまった。
吹上駅に着いたら、グレーの公衆電話しか無く、これがことごとく家に繋がらなかった。 (12日午前1時半頃)
さすがに歩いて北鴻巣に戻る気力はなく、たまたま一台いたタクシーに乗って北鴻巣駅まで行った(一駅分くらいの持ち合わせはあった)。 ちなみに、タクシーは浦和から来たと言っていた。
そこでやっと親と合流でき、無事家まで帰り着くことができた。(午前3時頃)
■途中で見たもの・人
・電車の乗務員に「JRはタクシー用意してくれるんですか?」と聞く人
・JRの職員に「万全の対応でない」ことを責め立てる人
・信号機・街灯・コンビニ等お店全般・自販機など、車のライト以外明かりがまったくない国道17号線
・止まっている信号機にジェネレータをつないで運用しているところもあった
・上下線ともすごい渋滞、とくに上りが全然動いてなかった。
・交通整備の人はかなり命がけ
・信号機が止まってる、交通整備の人もいない渋滞の交差点はかなり危険
・交通整備してる人の横の横断歩道で座り込んじゃう人
・歩道の色んなところで、腰掛けたり、座り込んでる人
・真っ暗な駅構内で普通につば吐く人
・真っ暗な駅構内に落ちてる沢山のゴミと吸殻
・真っ暗なベンチの横で立ちションする人
※これは我慢の限界だったと思われる
・「北鴻巣はこっちで合ってますか」と聞かれ「自分も向かってるんです、多分こっちだと思うんですけど」と答える
・「避難所はここから遠いですか」と聞かれる「ちょっとわからないです」と答える
・「JRの人はまだいるかな」と聞かれ「もういないと思います、シャッターが閉まってる」と答える
・北鴻巣駅、吹上駅にはそれぞれ、確認できた範囲で数人ずつくらい、帰宅難民らしき人がいた。
・鴻巣駅には恐らく数十人はいた。
■分かったこと、思ったこと
・帰宅難民の全体の人数や状況を正確に把握するのは結構難しいのではないかと思う。
・歩き
革靴はとにかく歩きづらい。履き慣れてないのもあったけど、スニーカーで歩く時とは違う筋肉使ってる感じがして。普通に歩く以上に疲れた。
歩いてさえいれば体は温まるが、疲労と寒さどちらを取るかという究極の選択を迫られ続ける。
・JRの対応について
ニコ生の地震特番でで猪瀬副都知事も問題視していたが、JRは各駅すべてシャッターを閉じて運転見合わせの張り紙をしていた。
これは自分の見た範囲でも鴻巣駅、北鴻巣駅、吹上駅でそうだった。
電車の運休はともかく、このシャッターは周辺の情報や現在の状況さえわからず、絶望感に拍車をかけた。
ただ、上の方で書いた人のように、こんな状況でさえ高いサービスや「万全の対応」みたいな理不尽な要求をする人を相手にしなければならないという意味では、
JRだけじゃなく公共交通機関の人には同情せざるを得ない部分はある。
・会話と安心
交通と通信手段が麻痺したうえ、寒さと疲労とだったので、かなり不安感があったと思う。
途中で携帯の充電切れたけどTwitterでの反応や、何より対面でちょっとした会話したりするだけで、安心する。
・感情的になってる人をあんまり責めないで欲しい
遠くまですべて真っ暗な国道、あれを見たら大人だって泣く人は泣くし、笑う人は笑う、と思う。
感情的になってる人をあんまり責めないであげて欲しい。
まずは相手の状況を確認して欲しい。
共有前提が全然違うかもしれないことに敏感であって欲しいと思う。
※これはとくに、報道のみから震災の情報を得てる人に言いたい。
自分も電話で、親に「寒くないか?」と聞かれて「寒いに決まってるだろ!」と怒ってしまった。
けど親は、停電で何時間も温かいものが何も無い状況であることなんか知らないし、
「寒くないか?」なんて普通の質問じゃないかと、後から思った。
・困ってる人は画面の向こう側だけにいるわけじゃない
家に戻ってきてから、会う人、会話する人、微妙に会話のピントが合わない。
TVなどで、最低最悪の状況が伝えられ、そればかり見ているからなのかもしれないが、
報道されてない人は全員無事というわけじゃない。
いきなり、犠牲者の数とかマグニチュードとか原発の危険性の話ばかりされても困る。
当事者意識がもう完全に違ってしまってるので、とりあえず最初に相手の状況くらい確認しようよ、と思う。
そろそろ日常に戻り始めてる人も多いかもしれませんが、自分はまだちょっと間を置きたいです・・。
おわり
2011年3月13日日曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿